京都・美山エコツーリズム

エコツーリズム大会

「全国エコツーリズム大会in京都・美山 2015」実施報告

去る10月15日(木)・16日(金)・17日(土)の3日間にわたり、美山町で「全国エコツーリズムin京都・美山」が開催されました。遠く北海道から沖縄、さらには、海外から留学生のみなさんが約300名、美山町に参集しエコツーリズムについての学びと交流の場として多くの成果を上げることができました。

平成元年より旧美山町が推進してきた「都市と農村の交流」事業の様々な取り組みが今回、「エコツーリズムの町美山」を誕生させました。

大会初日(シンポジウム 13:00~16:30)

まず、主催者から中川幸雄会長が開会の挨拶、南丹市佐々木稔納市長のご挨拶、共催者からNPO法人エコツーリズム愛知和男会長(元環境庁長官、元防衛庁長官)挨拶、そして環境省自然環境局の奥主喜美局長をはじめ京都府の城福健陽副知事からご祝辞を頂戴いたしました。皆様から美山町でのエコツーリズム推進を後押しする力強いお言葉を頂戴できました。

大会1日目…10月15日(木)

会場:美山文化ホール

来賓の皆様

主催者挨拶 中川幸雄
南丹市美山エコツーリズム推進協議会長

主催者挨拶
南丹市長 佐々木稔納

共催者挨拶 NPO法人日本エコツーリズム協会
会長 愛知和男

環境省自然環境局 奥主喜美様

京都府副知事 城福健陽様

基調講演では、講師に福島祥郎オリエンタルランド株式会社特別顧問をお招きし「人と人のつながり」をテーマにご講演をいただきました。完璧なまでに作り上げられたディズニーワールドが人が動いて楽しむ「動」であれば美山のような農山村は平和な空間即ち「静」でありそれぞれの「環境」が「手段」となっていること、これは、美山の豊かな自然環境や伝統文化がエコツーリズムの手段であることを示してくれました。また、江戸時代は「負」「凹」の時代であり様々な物がそこに流れ込む情況があった。この江戸時代、いわゆる「和」の時代がこれからやってくる、それこそが美山が誇りとする農山村の原風景と伝統文化であることも示してくれました。エコツーリズムは「人と人とのつながり」でより価値を高めてゆくものです。福島様のお話からまさに美山のエコツーリズムの時代がやってきたことを確かめることができ勇気をいただきました。

また、問題提起では、株式会社ジェイティービーグループ本社 代表取締役会長、一般財団法人日本旅行業協会会長、NPO法人日本エコツーリズム協会副会長の田川博己氏を講師にお迎えし「なぜ、今エコツーリズムなのか?エコツーリズムでの活性化・産業化」をテーマにご講演をいただきました。地域交流事業の考え方やエコツーリズムの実例などを具体的にご紹介いただき今後のエコツーリズムを事業として推進するため多くの智恵をいただいたとともに、「住んでよし、訪れてよしの国づくり」がそのまま美山町のエコツーリズムを推進する美山住民の心に響きました。

株式会社オリエンタルランド 特別顧問
福島 祥郎

演題「なぜ今、エコツーリズムなのか?
エコツーリズムでの活性化・産業化」

問題提議
株式会社JTBグループ本社代表取締役会長
田川博己様

次回開催地へのバトンタッチ

南丹市美山エコツーリズム推進協議会中川会長から
伊勢志摩国立公園協会事務局長 滋野 峻様へ

交流会(シンポジウムの後 17:30~18:30)

参加者の皆様との顔合わせ、地元の伝統食の試食会を兼ねた交流会を開催いたしました。120名の来場者を前に長野 豊副会長の開会の挨拶は、人間味に溢れ会場のみなさんからたくさんの拍手をいただきました。場がなごんだところで、美山の伝統食の説明を名古靖子さん、名古房江さん、名古愛子さんからいただき食材や作り方、いわれなどが全国からおいでいただいた皆さんには興味深く耳を傾けておられました。鯖寿司、なれ寿司、ずいきの酢の物、イタドリの煮しめ、従兄弟煮、呉汁、トチ餅、よもぎ餅、鮎の甘露煮、鮎の一夜干し、鮎ずし、鹿肉のロースト、ぜいたく煮、白和え、唐辛子の葉の炊いたものなど20種類程の伝統料理が並び会場の参加者は大満足の交流会でした。

美山町自然文化村で交流会・美山町の伝統食

大会2日目(エコツアー開催 9:00~16:00)

エコツアーに実際に参加してツアーの醍醐味を体験する日です。6つのエコツアーが行われました。Aコースは株式会社ニシオサプライス主催のエコツアー「教えてかやぶき職人さん、屋根はどうやって葺くの?」、BコースはNPO法人芦生自然学校、観光農園江和ランド、田歌舎共催の「森の命を頂く~鹿狩&解体体験」、Cコースは、美山町自然文化村主催の「京都大学芦生の森ネイチャーガイドトレッキングツアー」、Dコースは、NPO法人美山ほっとステーションの「竹細工・草木染めと伝統食~田舎暮らし体験」、Eコースは、田歌舎主催の「川と友達になろう!美山川ラフティングツアー」、Fコースは、北村かやぶき保存会と有限会社かやぶきの里共催の「地元ガイドが奥まで教える、ぶらり・かやぶきの里」でした。参加者は合計98名でした。どれも美山の伝統文化や豊かな自然を活用し、地域住民や事業者が主体となったエコツアーでした。中には、新しいプログラムをこの大会のために考えて実施したツアーもあり、新しいツアー開発につながりました。

大会2日目 エコツアー…10月16日(金)

【Aコース】教えて!かやぶき職人さん。屋根はどうやって葺くの?(参加者11名)

昼食は大名御膳。江戸時代に訪れた大名行列を
お迎えした際に準備した食材を元に河鹿荘の料理長が再現

【Bコース】森の命をいただく~鹿狩り&解体体験ツア~(参加者23名)

鹿肉解体

ジビエ料理

【Cコース】京都大学芦生の森ネイチャーガイドトレッキングツアー(参加者28名)

アイスブレイキング

ネイチャーガイド

【Dコース】わら細工・草木染めと伝統食~田舎暮らし体験(参加者14名)

草木染め体験

昼食は美山の伝統食

竹細工体験

サイクリング

【Eコース】川と友達になろう!清流美山川・ラフティングツアー(参加者9名)

清流由良川でのラフティング

【Fコース】地元ガイドが奥まで教える、ぶらり・かやぶきの里

エコツアーガイドが集落をご案内

放水銃見学

美山民族資料館見学

薬草茶づくり体験

大会3日目(2日目に行われたエコツアーの評価会)…参加者80名

2日目におこなったツアーに関して、ツアーに同行した評価員(エコツアーの専門家)がアンケート結果や参加者の声を汲み取り4つの視点から評価を頂きました。評価の視点は①ツアー内容②ガイドの評価③地域への貢献④今後の展望についてです。それぞれの評価の後、参加者からの意見や質問をいただき、ツアーを実施した主催者からの思いや意見をいただきました。最後に吉見精二評価員から総括をいただき、幾つかの改善点はあるが、美山のエコツアーは非常にレベルの高いエコツアーを実施されている。今後さらにメニューを増やし、既存のツアーの質を高めてほしいという総評をいただきました。

参加者からの質問タイム

主催者の感想・意見タイム

全国エコツーリズム大会in京都・美山 大会宣言

日本の農山村には「感謝」と「共生」の文化が息づいています。かやぶきの里美山には里山の風景とつつましい暮らしが今尚残っています。そこに住む暮らしの文化が風景をかたち造り、暮らしの中から生まれた伝統行事、稲作文化、狩猟、川魚漁、森の材の活用、相互扶助の仕組みなど自然と共存してきた文化がそこにはあります。 美山でのエコツーリズムはまさに「感謝」と「共生」の日本の文化の体験です。

エコツーリズムの推進によって地域住民が伝統の暮らしぶりに誇りを持ち、伝統や自然環境を守りながら地域経済の発展や地域住民の生きる力となることを願います。

この大会を通して日本の農山村の存続の危機を肌で感じ、エコツーリズムを地域産業に育てることの意義を共有できることを期待します。 私たちは先人が残した有形無形の財産を地域のために大切に守り生かし、人と自然をつなげる伝統の知恵を受け継ぐためにエコツーリズムを推進することをここに宣言いたします。

平成27年10月17日
全国エコツーリズム大会in京都美山